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「ありがとうございます。それでは・・失礼」
シオンが目を伏せて、かごを受け取り、神殿の玄関を開けて、入ろうとした時
「待てよっ!!!」
イリスが叫んで、ガバッとシオンの腕をつかんだ。
イリスが迫る、カベドン状態になった。
「こっちの話を聞けよ!
話を聞くのが、アンタの仕事なんだろうが!!」
シオンは驚いたように、壁に背中をぴったりとはりつけている。
「アタシが出禁っていうのは、わかるけどさ・・・でも・・・」
イリスの目から、つつっと涙がこぼれ落ちた。
「こんなぐちゃぐちゃな気持ちになっちゃって、自分でもどうしたらいいかわかんないよぉ」
両腕を垂れているシオンに、イリスは抱きついた。
シオンは大樹のように動かず、その瞳は困ったようにイリスを見つめている。
「くそっ、なんか言えよっ!!」
イリスは思いっきり、シオンの足を払った。
その体が崩れ、神殿の壁にそって座り込み、持っていたかごから、はちみつ酒の瓶が転がり落ちて割れた。
神殿の香の匂いと、はちみつ酒の匂いが混ざって、広がっていく。
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