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イリスのテンションが一気に下がったのを見て、アクアは少し困ったように、
「フェアリー領での絹の調達は、難しいですね」
「アクア、キアラちゃんはいるかぁ」
アラゴンが勢いよく、入って来た。
アクアはアラゴンに
「ちゃんと、手を洗ってきてくださいましたか?」
アラゴンは、自分の手を見てから、口を歪めて、もごもごしたが
「んーー。洗ってくる」
そう言うと、すぐに身を翻して、扉を閉めた。
「ちゃんと、パパしてんだぁ」
イリスは、クククと笑って言った。
「キアラちゃんは、パパが大好きなのですよ。煙草もやめてくれたし」
アクアは幸せそうに言った。
子どもを抱っこした左手の薬指に、金の指輪が光る。
あの指輪の裏側には、アラゴン家紋章が刻印されている。
そのきらめきを見て、イリスの心に自分でも正体のわからない、
何かもやっとしたものがかすめた。
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