進撃のイリス

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「私は、相当に年を重ねてきました」 シオンは静かに言った。 「そんなの関係ねーっての。アタシには今が大事なの!!」 イリスは叫び続けた。 「だから、チューしたら、あきらめるって言ってるんだよぉ!」 シオンは両手で、赤くなっているイリスの頬に触れた。 その手は、磨いた木の肌のようになめらかだ。 「もし、そうしたら・・・・私が困ることになる」 シオンの視線は、水面に風が走った時のように、ゆらいだ。 「私は、あなたのサキュバスとしての生き方を、その自由を奪いたくなる。 他のオトコの精気を取ることを、許せなくなる」 イリスが叫んだ! 「んだからさぁ、専属契約でいいって!」 すると、 イリスの髪に飾ったつるが、どんどん伸びて、葉が茂りはじめて、小さな花がこぼれるように咲いていく。 シオンは静かに、その様子を見て 「神殿巫女は・・・王の隣に座る権利があるのです」 ツタは床まで長くなり、さらに、つるを伸ばして繁っていく。 「だからぁ、専属契約!!」 イリスの叫びに、シオンは、微かに横に首を振った。
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