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「まぁ、長く生きていますからね」
シオンは<当たり前>という態度に、
イリスは、それ以上言葉が出ず、「うーーーー」とうなるしかなかった。
シオンはその様子を見て、ふっとおかしそうに笑い、イリスの左手を取った。
「久しぶりなので、つい、調子に乗ってしまいました。
私は、あなたの本来の姿も好きですよ」
なんだよ、やっぱロリ・ショタ系じゃないか・・
こいつはサキュバスより、上手(うわて)だ。
イリスは、何か言い返したかったが、言葉がでてこない。
シオンは、自分の指輪を、イリスの左手の薬指にはめた。
「私も、あなたと共にある今と未来を、大切にしたいと思います」
「うん・・」
イリスは小さくうなずき、目を閉じた。
そのまぶたの裏には、
大きな木の洞(ほら)の中で、大樹の精霊に守られ、子ウサギが安心して眠る姿が浮かんでくる。
その間にも、つるは床を埋めて、神殿の窓や柱をつたい、天井にまで、伸ばしていく。
それは、全ての緑が、王と王妃の婚姻を祝福しているかのように見えた。
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