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イリスの専属契約・その後
<エピローグ>
数日後
アラゴンがイリスと、領主の館の玄関先ですれ違った時だった。
「それじゃあ、アラゴン、お先に失礼します」
イリスが小さく手を振ると、左手の薬指、銀の指輪が光った。
「うん・・?」
アラゴンは立ち去るイリスの姿を、二度見してしまった。
イリスに似つかわしくない、髪には白の小花飾り、かわいらしいレースのブラウス、足首まである緑のスカート姿だ。髪と同じ花飾りのついた籐のかごを持っている。
「・・・・ああ、気を付けて帰れよ」
アラゴンは、額にしわを寄せて、声をかけた。
部屋に入るやいなや、大事件を報告するように早口で、アクアに、
「なんか、イリスの奴、おかしいぞ。雰囲気変わったよな。
フェアリー寄りになったというか、ギラギラしなくなったというか・・」
アクアが周囲を見回して、誰もいないことを確認すると、ひそひそ声で答えた。
「まだ、非公開なのだけど、イリス先生、専属契約、取ったのですよ」
「はぁ・・・・どいつだ、そんなもの好き、いたのか?」
アクアはアラゴンの耳元に手をかざして
「絶対に秘密ですよ。お相手は、フェアリー領の王族、神官様です」
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