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神殿突撃
その神殿は、フェアリー領の奥地にあり、人里離れた山里にあった。
イリスは小さな小道を進む、荷馬車の後ろに座って、うっそうと繁る木々を見まわしていた。
奥に進めば、進むほど空気が冷たく清浄になり、神域っぽい感じがする。
突然、小道が開け、両脇がずっと遠くまで畑になっていて、
その先には、二つの大きな岩が鎮座しており、人が一人抜けられるほどの隙間が空いていた。
「ネェちゃん、ここがそうだよ。この岩の間を抜ければ神殿さね」
荷馬車を操る老人が声をかけた。
イリスはピョンと跳ねるように、荷馬車を下りた。
それから、大きなスーツケースを引きずり下ろした。
「オジサン、ありがとね」
イリスは投げキッスをして、老人に感謝を伝えたが、うまく伝わったかわからない。
荷馬車はそのまま、ガタガタ進んで行ったからだ。
「さてと・・」
細い岩の間を抜けると、イリスは腰に手をあてて、両足を広げて踏ん張った。
目の前の石造りの神殿・・デカイ・・
外観は、ペトラ神殿のように美しい装飾で飾られている。
神殿を守るように、両脇は深い森になっていた。
「たのもーっ・・・!」
イリスは大きな木製の扉を、ガンガン叩いた。
わずかに扉を開き、そばかすの少年が顔をのぞかせた。
「何か、御用でしょうか?」
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