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少年の顔には「不審者が来た」と、ありありと表れている。
無理もない。
神殿に来る者の服装ではないからだ。
イリスは、オフショルダーの真っ赤なボディコンのワンピース。
胸を強調し、ウェストのくびれはスタイルの良さをアピールしている。
パンツの見えそうなミニスカートは、美脚を惜しげもなく見せていた。
赤は、イリスの黒髪に映えて、
妖艶さを演出する色、勝負色だ。
ガキは相手にしない。時間がもったいない。
イリスはすぐに聞いた。
「シオン様、シオン・シスル様に会いにきたんだけど」
「シオン様はどなたとも・・・・お会いしません」
少年はイリスの迫力に、しどろもどろで、つっかえて言った。
「あら、そーう」
イリスは素早く、ハイヒールのつま先を扉の隙間に突っ込んだ。
「アポは取っていないけど、取り次いでくれないと困るんだけど、アタシが」
強引さと、強気はサキュバスの十八番だ。
「ええ・・でも」
少年は困っている隙に、イリスはスーツケースをドアの隙間に押し込んだ。
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