神殿突撃

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「あのさぁ、私が魔族で・・入れたくないんでしょう。 それって、偏見だよね。 神殿にサキュバスを入れたら、 穢れるってさ、言われているんでしょう!」 イリスは口を尖らせて、言いつのった。 難癖をつけて、押し通すのも魔族の常套手段だ。 「神殿は、誰でも入れる場所です」 イリスは背後の声に、振り向いた。 「シオンは私ですが・・」 その声は、低めで落ち着いている。 ジジィ・・のはずだが・・・・ 壮年というのは、まだ早い。 アラゴンより、少し年上くらいに見える。 透き通る肌色に、彫刻をしたように整った顔立ち。 生成りの質素なローブをまとい、かごには切ったハーブらしき草や小枝がいっぱい入っていた。 深い緑に金の糸が混じる髪を 後ろに束ねて、同じ金と緑の混じる瞳で真っすぐにイリスを見つめている。 表情は冷静さを保っている・・ しかも、精気が、生気が感じられない。 「ああ、あんたがシオン・・様?本当に?」 まるで、大きな大樹のように・・不思議な存在感と気品。 「ええ、そうです」 「もっと、ジジィって聞いたけど・・・」 イリスは、半分口を開け、本音が出てしまった。
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