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「フェアリーには、長寿の種族があるのです。
特に、王族の血を引く者は見た目も、年を取りにくいのです」
シオンはふっと、表情をゆるめた。
「あなたは魔族ですね。
そう、魔族的からみたら、ひいおじいさんくらいの年齢にあたるから、確かにジジィですが」
はぁ、そーなんだ・・・
イリスは、牙を抜かれたようだったが、
「私に何の御用ですか?」
その問いに、ここに来た目的を思い出した。
「あの、商売の話で来たんだけど、話を聞いて欲しいデス!!」
イリスはぐいっと、シオンに詰め寄ったのだが、反応がない、
まるで植物がなびくように
イリスの感情が、抵抗がなくすり抜けてしまうようだ。
「話を聞きましょう。わざわざ、遠くからお見えになったのですから」
シオンは、少年に合図を手でした。
少年は戸惑いながら、扉を大きく開けた。
「それでは、どうぞ、こちらに」
シオンはイリスの横を通り、先に案内するように歩く。
すれ違った時に、何かのハーブの香りが、イリスの鼻先を流れた。
神殿内部は大理石でできていて、高い丸天井に音が反響していく。
コツン コツン
イリスのヒール音が響く。
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