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「そうですね。崇さん、色々ありがとうございました。落ち着いたら夏美と一緒に御礼に伺わせて頂きます」
敦は崇にお礼を言ってから、電話を切った。
「俺、しばらく有給を使って休んでいたんだけど、明日から会社に出勤するよ。仕事が終わったら、すぐにホテルに来るから」
「うん。わかった! 私は大丈夫だよ。私、せっかく1人の時間がたくさんあるから、この事件をまとめて小説でも書こうかな?
もちろん、私だとわからないようにフィクションもたくさん入れて」
敦はまさか夏美がそんな事を言うとは思わず、驚いて夏美を見た。
「やめた方が良いと思う?」
夏美が不安そうに上目遣いで敦を見た。
「いや、良いと思う。俺は夏美が小説家になりたいなんて知らなくて驚いただけだよ」
「小説家になりたいなんて思った事はないよ。ただ、学生時代はよく小説を書いて、友達に読んでもらっていたの。こんな事件の当事者になるなんて普通ないでしょ? だから、創作として書いてみたいなって」
夏美が恥ずかしそうに言うのを聞いて、敦は夏美の髪の毛を撫でながら、もう一度「良いと思う」と答えた。
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