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我慢
完全に果てた2人は地にへたり込む。
その気になった男は射精す事に思考を支配されるが、射精してしまうと精神は仏の境地に至る。
下野は改めて恐ろしい約束をしてしまったと我に返るが、取り消す気も無かった。
悦楽に負けた事は自分が一番よく分かっている。
そこを否定する気はないが小田の言葉が心に響いたのも事実だ。
そう、何もかも三流の自分の人生など知れている。
別に幕府に何の思い入れも無い、かと言って討幕運動にも興味は無いが、今は小田についていくと決めたのだ。
「俺は何をすればいい」
「武田観柳斎を知っているか?」
「五番隊組長を知らない訳が無いだろう」
「本当は土方から探りたいが危険すぎる。だから俺は今武田を探っているんだが、手伝ってくれ」
「しかし、武田も組長だし侮れん。しかも新選組の頭脳と聞くが?」
「局長の近藤は知識人とか学者を持ち上げてしまう性格があってな。武田はそれを知って、学者のフリをして上手くのし上がったに過ぎん。しかし所詮は偽物、土方や山南は見抜いている。新選組の頭脳は土方だ」
「小田、詳しいな」
「・・・まあな」
ほんの僅かだが声が曇る。
「しかしどう手伝えばいいのだ?」
「俺が武田の気を逸らしている間に、密書がないか探ってくれ」
「わ、分かった」
「決行日になったら伝えるからそれまで大人しくしててくれ・・・しばらく、番いも控えよう。周りに勘繰られる」
「そ、そうだな」
「そんなに残念か?」
「ち、違う!だだ、大丈夫だ!!」」
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