小田鍬ノ助

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小田鍬ノ助

店内に消えた小田。 「小田、大丈夫か⁉」 店外から小田を呼ぶ下野。 ・・・数秒後。 「だいじょっぷべよー、おめらも中に入れ」 「あ、ああ・・・」 下野ら3人も入店する。小田は店に入ってすぐのところで仲居らしき者と何やら話していた。 「小田、不用心だぞ!いきなり大声で入る奴がいるか!」 「すまねすまね、それより店内を調べるべや。おめら3人は一階を頼む、おでは2階を調べるだよ」 「馬鹿を言うな、二人ずつに・・・」 「いんや、広い1階に3人がいいべよ。心配ねえっぺ、なんかあったら大声出すべよ」 「・・・わ、分かった」 何かが腑に落ちない下野だが、その何かが分からないので小田の言うとおりにする事にした。 小田は2階に上がると迷わずある一室に向かい、徐に襖を引いて中に入った。 その一室にいた者・・・いや、者たちは小田が入ってくるのを待っていた様だ。 「小田、お勤めご苦労」 その者たちの代表であろう男が小田を労う。 「いえ、お久しぶりです。桂さん」 「それで・・・どうだ?」 「はい、ようやくめぼしい者が一人」 「そうか、まさにようやくだな。引き続き頼むがくれぐれも気をつけてな。特に副長の・・・」 「土方ですね、あいつは下級隊士の事もよく見ています。訛りは当然で癖や仕草でもその者の郷土を暴いてきます」 「忌々しい・・・小田、お前は大丈夫なんだろうな」 「はい、俺の訛りはどこの国のものでもないですから、当てようがありません」 桂と小田以外にこの部屋には5人の者がいたが、真一文字に口を結んで沈黙を保っていた。 「小田ーーーっ!どこだー⁉」 どこからか下野の声がする。 「おっと、めぼしい者が呼んでおります。今宵はこれにて」 「うむ」 「貫二郎、ここだべよーっ」 小田は何食わぬ顔で下野たちと合流した。
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