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下野貫二郎
うつ伏せで寝ていた下野貫二郎は違和感で目を覚ました。
それは、いつのまにか小袖(江戸時代の普段着)がまくられて下半身が露になっている事ではなく、露になった臀部に「誰か」があのモノを擦り当てられている事にだ。
「んんんんっっっっ」
叫ぼうとするより早く、両手で口を塞がれる。
「騒ぐでねっ!まだ入っとらんちゃんか!」
「んぐぐぐぐ」
声から、「誰か」の正体は小田鍬之助だと気づいたが、それよりこの状況をどうにかするのが先だ。
この大部屋には下野と小田合わせて12人が雑魚寝している。
この状況を見られたくないのは2人とも同じの様だ。
下野は”騒がないから手を放せ”と目で訴える。
なぜか通じたらしく、あっさりと口から両手を離す小田。
小田は整った短髪に細い顔と切れ目が酷い訛りと合致しない不思議な男である。
2人は大部屋を出て話す場所を中庭に変えた。
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