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「ホリー、泣かないで。私、責めたりしていないわ。二人を祝福してるの、本当よ」  それでもホリーは泣き続け、次第に声も漏れ始めた。 「ホリー、泣かないで……」  ホリーを抱き締めようとした矢先、人影が現れた。 「ナターシャ」  ディーンだった。いつも明るく声を掛けてくれていたディーンが、今はとても冷たい声でナターシャの名を呼んだ。 「ホリーを泣かせたのか」 「ディーン、違うわ。いえ、違わないのかしら……でも、泣かせるつもりはなかったのよ、本当に」  ディーンは刺すような視線をナターシャに向けたままホリーを優しく抱き寄せ立ち上がらせた。 「もう大丈夫だ、ホリー。僕が君を守るから」 「ディーン? それはどういう……」 「ナターシャ、ハッキリ言っておく。もう、僕とホリーに関わらないでくれ」 「え?」 「あと半月で卒業だから我慢しようと思っていたが、またホリーを泣かせるなんて許せない。二度と話しかけるな」  そう言ってディーンは踵を返しホリーの肩を抱いて立ち去った。その間もホリーはずっと泣き続けていた。 (何……? いったい何が起こったの?)  回廊の校舎からは野次馬がこちらを見ていた。ヒソヒソ話をしている人達もいる。早くここを立ち去らないと……そう思うのに身体が震えて足が動かない。  永遠にも思える時間が過ぎていった。
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