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「ねえホリー、はしたないことだと言われてるけど、やっぱり女性から告白してはダメなのかしらね」 「そうねえ。淑女は自分から言い寄ったりしないってマナーの授業でも教わったしね」 「こうやってディーンから申し込んでもらうのを待ってる間に、誰かに取られちゃうんじゃないかって心配なの」  何でもハキハキと話すタイプに見えて、意外と恋愛は奥手なナターシャだった。 「大丈夫よ、きっとディーンはナターシャのこと好きよ。タイミングを見計らってるだけだわ」 「ありがと、ホリー。いつも慰めてくれて嬉しいわ。ところでホリーはパートナーどうするの?」 「うん、私は婚約者もいないし好きな人もいないから、お兄様にエスコートしてもらうつもり」 「そっか。私も、ディーンから申し込まれなかったらお兄様に頼むつもりよ。今から焦ってお見合いするのも良くないしねえ」  マリアンヌは王太子殿下の婚約者だし、他の上位貴族令嬢達はほとんどが幼い頃に決まった婚約者がいる。だから、パートナーが決まっていないのはナターシャとホリーだけだ。  男子クラスの方も大体がパートナー持ちで、決まっていないのは子爵家のディーンとその友人くらいである。 「そうそう、ホリー、マリアンヌ様たちのドレスが決まったわよ。放課後、私達もドレス見に行きましょ」 「やっと決まったのね。楽しみだわ」  上位貴族令嬢は屋敷に仕立て屋を呼び自分の身体に合わせて作ってもらうのだが、ナターシャ達はお店に出掛けて行って既製品から選ぶ。少々サイズが合わないこともあるが、その分お安いのだ。  二人はマリアンヌ達と被らない色の中からあれやこれやと試着して、ナターシャは明るいオレンジ、ホリーは淡いグリーンのドレスを選んだ。選んだドレスは取り置きしてもらい、後日両親と買いに来るのである。
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