追憶

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追憶

いつかふたりで。 ノスタルジックな平屋を買って、僕らの好きなアンティークな家具や雑貨に囲まれて。 いつかふたりで。 穏やかな空気に包まれて平凡な暮らしをしよう。 手先の器用な彼女はアトリエでカタカタとミシンの針を走らせて。 僕は彼女が好きな生花を買いに出掛けるんだ。 買ってきた花をお気に入りのフラワーベースに生けていると、きっと彼女はこう僕に呟く。 「下手くそね。センスないなぁ。」 悪戯に笑う彼女を、僕は愛おしく思う。 そのつもりだった。
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