イワト隠れ

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 日記はそこで終わっていた。今の状況を考えれば、おそらく封印には成功したのだろう。そして、今までの間、封印は破られること無く保たれてきた。だが、事情をしらない例の五人組がやらかしてしまい、封印が解けてしまったということだ。 「なあ……。あの五人、どうなったんやろ?」  ミズキがはっとして言う。封印を解いてしまったのだから、当然、ナリカンダラと遭遇したはず。レベル30を超える強者ばかりだが、間違いなくナリカンダラを討ててはいない。もし倒せたのならば、今だに世界が暗闇に包まれている理由が説明できない。 「ぶっちゃけ、奴らはどうでもいい……って言いたいとこだが、ついでになら助けてやってもいいんじゃね? 死んでなきゃな」  つっけんどんにフミトが答える。一度は選択を間違えたが、最後には世界を守る選択をした村長。フミトはその意思を尊重し、”後始末”を引き受けるつもりだ。 「ナリカンダラの弱点でも書いてくれてれば、一番よかったんだが」 「ほんまやね。ここにある本を全部読んでも、そんなもんは書いてないやろね。本に弱点が書いてあるなら、娘を生贄にして封印するより、弱点を狙って退治しようと思うやろし。ウチらは全力でぶつかるだけやね。倒せないまでも、なんとか弱らせることができたら、アマツテラスが力を貸してくれるかもしれへん」 「じゃあ、急いで向かうことにするか」 「了解っす!」 「了解や!」  村長一家の思いを受け取り、一行は神殿を目指した。
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