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「お隣のページは、職人街でいっちばんのベテラン職人さんの作品じゃないですかぁ……畏れ多いなぁ」
そうは言っても、「見劣りする」って言葉だけは、ティッサは普段から絶対使わない。ぼくがいない場面でだったらどうだかなんて知らないけど、ぼくが聞いている時は。「他の職人さんの作品がどれだけ素晴らしくても、私にとっての世界一はあなたなんだからね、トイトイ!」って、いつもそう言ってくれるんだ。
「トイトイが皆さんと同じ本に載って……でへへ」
「ティッサ、よだれ。本についちゃうから気を付けて」
「それは困る!」
じゅるる~、って、涎を吸い込んだ。危ないところだけど、ティッサが極めて喜んでいる証拠でもあるから、良かったなぁってぼくは思うのだった。
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