おわりに

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おわりに

 プロテーゼ抜去後、昔の私を知っている人と普通に会っている。けれど誰一人と、私の顔や雰囲気が変わったと言う人はいなかった。  プロテーゼ入れた時、散々「変わった?」「不自然?」と明らかに相手が不思議がっている様子を目の当たりにしてきた経験があるので、その点はよくわかる。  「抜いてもわからん私の鼻」思わず、「笑」とつけたくなってしまう。確かにプロテーゼを抜いても「そんなに変わっていないかも」と自分でも思う。しいていうならば、鼻根が低く、鼻先が丸くなった(昔の鼻先とは少し違うけれども)くらいである。鼻筋の幅もほどよく、変に強調されるようなこともなくなった。  それよりも異物が入っている違和感、ズレるいやな感じから解放され、ありのままの鼻でいられることがとても嬉しいのである。  そうはいえど鏡で横顔を見ると、「うーん、口をとんがらせると鼻の方が低いわ」とややがっかりなご面相ではある。  顔立ちというのは変わってくるものだ。  骨格も歪みなど出てくるだろうし、皮膚のたるみ、表情筋の劣化など、色々な要素があると思う。また人生が顔にあらわれてくるお年頃でもあり、良い意味での経年変化もあるのだろう。  若い頃の私にはとても難しいことだったけれど、「自分の顔を好きになる方法」を見つける方が、私には必要だった。  まずは「笑顔」が一番だと思う。とても簡単な方法だ。  気分が落ちている時でも、口角を上げる意識をして笑ってみる。目尻に走るシワも気になるけれど、くしゃっと目を細めて思いっきり笑ってみるのもいい。笑うと誰でも、素敵になるんだ。    追記。  それでも先日、「鼻筋リフォーマー」という鼻軟骨を補整サポートするグッズを購入した。あくまで「一時的な補整機能で、時間とともに戻る」ものであるけれど、ちょっとした気分転換になる。  それもやったり、やらなかったり、だ。
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