意気地なし

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「え?」 「会えばいいじゃん」 「でも、あの、それを知った時、僕どんな顔すればいいの? 素直に喜べないよ」 「知るもなんも、会ってみなかきゃ分かんねーじゃん」 「まっ、、そう、、、、だけど」 そうだよ。 会ってみなかきゃ分からない。 だから怖い。 会った時、それを知るのが怖い。 大好きな人に会えた時、その嬉しさをあの感情が上回るのが怖い。 大好きな人のことで、傷つくことが怖い。 「んなの、幸せにって言やいーじゃん。好きな人には幸せになって欲しい、隣にいんのが自分じゃなくても、幸せになって欲しい。春だって内心そう思ってんじゃねーの?そん時に傷ついても、そう言ってあげられんのがいい男なんじゃねーの?って俺が、勝手にそう思ってるだけだけどね」 「、、、っ」 そう、、だよな。 蒼の言う通り、彼女には幸せになって欲しいって思ってるよ。 本当は、隣りにいたい。 でも、もう居れないかもしれない。 それでも、好きだから、大好きだから、、、、 幸せになって欲しい____ 「ま、どうするも春が決めることだけどな」 「蒼、ありがとう」 「え?なにが?」 「頑張るよ」 「はは笑。頑張れよ」 「うん」 蒼は、それ以上何も言ってこなかった。 そこが蒼のいいところだ。 無理に人の傷に、入り込もうとしない。 その人が欲しい言葉をくれる。 あえて、背中を押すことも、否定することもしない。 心から、いいやつだなって思ってるよ。 「じゃ、乾杯する?」 「何に笑」 「ん?春の意気地なし卒業に」 「は〜?笑 意気地なしじゃないし!」 「まぁまぁ、では、カンパ〜イ!」 「乾杯」 カチャンッとビールチョッキの当たる音が、二人の間に響く。 うまっ よく冷えたビールが、今までの不安を流すように喉を通った。 「飲み過ぎんなよ」 「分かってるよ笑」
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