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「教えないよ」
『ピピピピ』
一定のリズムが鳴り響く。
重いまぶたを持ち上げれば、いつもの景色がある。
上半身を起こすと、布団の上に水滴が落ちてきた。
頬を伝っている"なにか"を感じる。
さっき落ちてきた水滴が、涙だったと気づいたのはその時だった。
私は泣いていた。
きっと、昨夜見たあの夢のせいだろう。
あの日のことは鮮明に覚えてる。
はっきりしすぎて今でも、あの日に戻ったかのように思い出す。
朝起きて、気づけば泣いている。
あの夢を見た時はいつもこうだ。
そして、あの夢を見るのはいつも冬だ。
あの日も、今日と同じ静かに雪が降る日だった。
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