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"私"の方だ
「もういいよ。最低」
その一言だけを放ち、私は彼の家を飛び出した。
言った後、どうしても彼の顔は見れなかった。
どんな顔をしていたんだろう。
傷ついたかな。いや、傷つけたよね。
自分で言ったのに、罪悪感が溢れた。
でも、彼は何も言い返してこなかった。
"本当に"出ていく私を、止めようともしなかった。
自分から飛び出したくせに、本当は言い返して欲しかった、本当は止めて欲しかった。
なんて、後から自分の気持ちに素直になる。
本当は、"最低"なんて思ってないよ。
でも、優しい彼だから、優しすぎる彼だから、
きっとそのまま受け入れたんだろう。
なんでこんなに素直になれないのかな。
なんで、どうして彼の気持ちを素直に、受け入れてあげられなかったんだろう。
私は、きっと前から彼は"優しいから"それに甘えてきた。
ずっと_____
本当に最低なのは彼じゃない。
"私"の方だ。
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