もしかしたら

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いないって分かっていても、「もしかしたら」って探してしまう。 彼女は今、どこで何をしているのだろう。 ちょっと背伸びをして周りを見渡すが、やっぱり今日も見つからなかった。 なんて、最初から分かっていた結果にちょっとだけ落ち込む。 今日は晴れている。 だから、「もしかしたら」って思ったのにな。 もしかしたら、彼女に会えるかもって。 そんな事を考えながら、今日も人混みの中を歩く。 別に、どこかに行く予定なんて無い。 ただ、"なんとなく"それだけだった。 周りが、電気音や人の声でガヤついている中、 ふと、横を通った親子の声が聞こえた。 「××ちゃん。悪いことすると神様が怒るよ」って。 きっと、あの子は神様を信じてるんだろうなあ。 僕も2年前までは信じてたよ。2年前までは。 でも、今は信じてない。 どんなに願っても叶わなかったんだもん。叶えてくれなかったんだもん。 ずっと願ってたよ。毎日のように。 でも、今も現状は変わんないじゃん。 神様は、越えられる試練しか与えないなんて嘘だよ。 もし、本当にいたとしても、神様は残酷だ。 だから、僕はいつしか神様を信じなくなった。 "人生は残酷で、神様なんていない" そう思うようになった。
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