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「春翔、狡い」
「翔人、お前何してんだよ?」
「この通りクレープ屋さんだよ?」
「ふぅん?」
春翔はそう告げるなり、美南の口元を見るとチョコレートが付いていた。
「美南、餌付けされたな」
「え?」
美南が何となく顔を上げると、春翔はペロッと唇の端を舐めた。
「ふぁ?!」
「チョコレート付けてるから、お仕置き」
「な、何してんのよ!
おバカ」
「キスのが良かった?」
「ダメに決まってるでしょ?
ほら、月海お迎え行くわよ」
「仕方ないなぁー」
「あ、これ持ち帰り用のクレープだよ?
月海ちゃんにも食べさせてあげて」
「ありがとう、翔人くん」
「春翔とラブラブし過ぎないようにね?」
「し、しないから!」
美南が照れくさそうにそう告げると、春翔はムッとした顔で手を握ってくる。
「ちょっと春翔?」
「しないとか有り得ないから?
諦めてよ」
「…いつも春翔は勝手じゃない?
月海に迫って私を妬かせたりとか怒らせたりとかさ」
「ヤキモチ妬いてくれたんだ?」
「…好きなんだから、当たり前でしょ?」
「うわっ」
「な、何よ?」
「激レアな美南見たな?
可愛すぎてヤバいな」
「は?」
春翔はニッコリ微笑むと、また美南にギュッと抱きついていた。
「もう、お化け屋敷着いたわよ?
月海は何処よ?」
「そこのベンチに…
あれ?!」
「居ないじゃない!
何でよ」
「携帯に連絡しよう」
「うーん?
月海、携帯電源入れてないかも」
「な、何で?」
「学校では落とすからよ?
その延長だと入れてないかも」
「真面目もそこまで来ると難点だね」
二人がそんな感じで月海を探していた頃、月海は更に奥のベンチに座って待っていた。
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