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「なら、俺が手伝いましょうか?」
「何で君が?」
「俺がもうちょっと早く声掛けたら怪我しなかったでしょ?」
「まあ、彼奴らは気まぐれだから…
毎回ではないよ」
「眼鏡やめたらいいのに?」
「店では素顔だから不味いんだよ?
学校から近いし、顔バレしたくない」
「フッ
隠すのが好きですね?」
結月が夏向の手当てを終えて体育館に戻ると、月海が駆け寄ってきた。
「夜空くん、大丈夫?」
「あ、うん?
少し手首捻っただけ」
「え?!」
月海は夏向がお菓子作りをしているのを知っているのだから、心配顔になる。
「ほら、授業終わってないから戻って?」
「う、うん?」
月海はそう言われてコートに戻ったので、夏向は端で見学する事になった。
「夏向くん、何なら月海姉さんも手伝わせようか?
そうすれば二人になれるでしょ?」
「それは有り難いけど…」
「フッ
好きなくせに何遠慮してるんだか」
結月が可笑しそうに笑うと、夏向も困ったように顔を顰めていた。
それから昼までの授業が難なく終わり、月海は用事があると言って3階の階段下に向かっていたが何者かの気配を後ろに感じる。
(誰だろう?
美南ちゃん達じゃない)
月海は何となく怖くて振り向けないでいると、グイッと誰かに引っ張られた。
「…?!」
「静かに」
「…?」
月海は少し暗がりな場所でよく目を凝らしてみると、夏向だとわかり安心した。
「行ったみたいだな」
「夜空くん、あの…」
「ん?」
「隠れんぼしてるみたいだね?」
「フッ
何愉しそうにしてるの?
危なかったんだよ?」
「誰だったの?」
「クラスの奴だよ?」
夏向がそう告げると、月海はギュッと制服の袖を掴んでくる。
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