『第一章』

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 先ず思ったのは、早く卒業しなくてはならないという事。ここに来たからにはとりあえずは今のcollegeを卒業しなければならない。それまでにはあと2年近くは掛かる。そうなると卒業は24歳の年になり、俳優への道はそれからとなる。  急に思い立った夢に急に焦り始めた。しかしここで焦っても時間は変わらない。とりあえず今出来る事を考えた結果、collegeで初めてお芝居というクラスを履修する事にした。  きっと周りはアメリカ人しか居ないだろう。そんな未知の世界は恐怖でしかなかったがそれも今しか出来ない事だと考え、自分で言うのも何だが勇気を振りに振り絞った。人生で一番振り絞った。それはそれは……、と何回も言えるほど、絞った。  授業初日、collegeのステージに集合した人数は10人ほどだった。見る限りやはり全員アメリカ人だ。背の高いサングラスの黒人生徒、かなり年上の女性生徒や赤ちゃんを抱いた同じくらいの生徒など、いかにもアメリカらしいなという感じのクラスだった。
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