名も無き俳優物語 -現在進行形-

『第一章』

２００５年、私はアメリカに居た。

　留学２年目を迎えていたその頃、学校から自宅のアパートに着くととりあえずテレビをつけていた。映りが悪い小さなテレビには毎晩同じ番組が流れていた気がする。その番組の音をＢＧＭに簡単な食事を済ませ、課題に取り組んだりとしていた日々を思い出す。

　たまに何故自分は今アメリカに居るのだろうと思う事があった。人と喋る事も得意ではなく比較的引っ込み思案だった自分が、毎日何が起こるのか想像も出来ない異国の地に居る。空を眺めながらこれは現実なのかと思う事もあった。