2 離縁だと? ※フレデリック

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 ミレーヌは娼婦だが、社交界で人気の高級娼婦だ。  美しい高級娼婦を愛人にするのは一種のステイタスである。  ミレーヌの手は美しく、労働者の手ではなかった。  その点、リーゼは働き者だった。  俺と浮気相手の食事を文句も言わずに用意し、 繕い物も上手かった。  思えば、そこらのメイドより役に立つ女だ。 「うん? メイド……?」  俺は気づいてしまった。  この屋敷にメイドがいないことに。  いや……メイドだけじゃない。  使用人がいない。  俺と同様にミレーヌも気がついたようだ。 「使用人を雇う金がない……」  そういえば、遊ぶ金欲しさに金を湯水のように使ったことを思い出した。  もしや、今までリーゼがなんとかしていたということか? 「そこに金貨があるじゃない」  ミレーヌは名案とばかりに金貨が入った袋を指差した。  俺に投げつけられた金貨。  だが、この金を使ってしまえば、リーゼを取り戻せなくなる。 「この金貨を受け取ったことを知っているのは俺とミレーヌだけだ」 「ええ、そうよ」  俺たちが黙っていれば、金貨のことは誰にも知られない。
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