12006人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうねぇ、ベッドのお相手ではないことは確かよ」
「はははは。この女を抱くくらいなら、その辺の安い娼婦を買った方がましだよ、ミレーヌ」
私は道具だ。
伯爵夫人として、世間体を守るためだけの存在として買われただけのお飾り妻。
「仕事は屋敷の者に聞け。伯爵夫人の役目をこなせないようなら、下働きをさせるぞ!」
「馬糞の始末でもさせましょうよ!」
意地の悪さでいったら、ミレーヌはなかなかのものだ。
でも、馬糞は畑の肥料になって役立つ。
少なくとも、馬糞のほうが、目の前の旦那様よりは世の中の役に立っているのではなかろうか。
「リーゼ。俺とミレーヌが飲むワインを持ってこい」
結婚初夜。
私がやったことは、旦那様と愛人が飲むワインを寝室まで運ぶことだった――
最初のコメントを投稿しよう!