4 お飾り妻の仕事

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 じゃぶじゃぶ泉が湧き出るくらいお金が増えるワケがなく、使用人たちに支払うお給金の支払いができなくなってきた。  やがて、伯爵家を見限り、使用人は他家へ移っていくものが増えてきた。 「旦那様、使用人たちに支払うお給金ですけど……」  応接間のドアを開けると、そこでは旦那様が仕立て屋を呼び、ミレーヌのためにドレスを仕立てている最中だった。  仕立て屋は王宮にも出入りする人気の仕立て屋だ。   「なんだ。また金の話か」 「あらぁ、奥様。なにか用?」 「お金がないんです」  私がそう言うと、仕立て屋が驚いた顔をした。 「リーゼ! 嘘をつくな!」 「旦那様に恥をかかせて、気を引こうとしただけでしょ」  仕立て屋はじろじろと私と旦那様を交互に見る。  私のドレスは男爵家から持ってきた粗末なドレスで、ミレーヌは新品のドレス。  仕立て屋なら気づくはず。   「今日はいったん帰らせてもらいます。忙しいので……」  仕立て屋は逃げるようにして伯爵家から出て行った。 「旦那様。いい加減にしてください。銀器も売りましたし、絵画も売りました。もう若い使用人はいなくなって、昔からの使用人だけです」
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