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「離縁……」
青い空を見上げても、離縁についての知識は増えない。
私が今、やれることといえば――別居。
『実家に帰らせてもらいますっ!』が王道。
「でも、実家は頼れないわ」
実家に帰ろうものなら、叩き出されてしまう。
お金と引き換えに娘を嫁がせるくらいだ。
旦那様の機嫌を損ねず、このまま伯爵夫人として愛のない結婚を続けろと言われるだけ。
「結婚する時はサインひとつで終われたのに。別れる方が難しいなんて……」
とりあえず、私は伯爵家に飾ってあった年代物の壺を売りに出すため、お屋敷の外に出た。
すでにお金になりそうな銀や宝石、絵画は売り払った。
そのお金はすべて使用人の給金にあてられ、残っているのは骨董品だけ。
「いくらで買い取ってくれるかしら……」
私が向かったのは異国の品を売っている貿易商の商会で、自国の骨董品を高値で買い取ってくれる。
なんでも、よその国では錆びた甲冑でも高値で売れるらしい。
行きつけの商会へ顔を出すと、そこには我が国の宰相、アルウィン様がいらっしゃった。
「こんにちは。リーゼ。また骨董品を売りにきたのかい?」
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