5 妻は離縁を考える

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 金髪碧眼、顔立ちは整い、笑顔がとても爽やかだ。  元は貿易商だったらしいけど、国の財政を立て直し、戦争では奇抜な戦術を使って勝利させたという有名な方だ。  功績によって、公爵の地位を与えられ、国王陛下からの信任も厚い。 「こんにちは。アルウィン様。そうです。高値で買い取っていただけたら嬉しいのですけど……」 「店主に頼んでおこう」 「ありがとうございます」  この商会は貿易商時代にアルウィン様が経営していたお店で、今もオーナーとして経営に携わっている。  店主は雇われ店主で強面の男、  ケヴィンという。  見るからに強そうで、とても一般人には見えない。  アルウィン様いわく、彼は「番犬だよ」と。  それなら納得できた。 「宰相であるアルウィン様にお聞きするのも心苦しいのですが、頼れる人がいなくて」 「うん? なんだろう?」 「どうすれば離縁できますか?」  私が頼れるのは骨董品を買い取ってくれる商会だけ。  私の悩みを聞いて、店主のケヴィンが苦笑する。 「おいおい、お嬢ちゃん。アルウィン様は宰相だ。国の宰相が離縁のため策を練るなんて、するわけ――」 「いいよ。引き受けた」
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