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「へっ!?」
ケヴィンはアルウィン様の顔を見る。
「本当ですか!」
「もちろんだ。困っている国民を助けるのが、宰相の役目だからね」
「よく言うよ。さっきまで、金の取り立てを……」
ドフッーー突然、ケヴィンが横に吹き飛んだ。
なんだろう。
横殴りの強風でも吹いたのだろうか(屋内だけど)。
「リーゼ。離縁をよく決意したね。辛い生活をする君を見ていて、いつ別れるのだろうかと、心配していたんだよ」
さすが宰相様。
すでにアルウィン様は、私が離縁したいと思うことを予想していたようだ。
「良くお分かりになられましたね」
「鶏でもわかるよ」
つまり、旦那様は鶏以下。
美味しい卵を産むだけ、鶏のほうがいいし、偉いと思う。
「離縁を考えているなら、男と一緒にいるところを見られるとまずいだろう。商会の事務所を借りようか」
「え? 男?」
「俺だよ」
「宰相様ですよ」
「男だよ」
性別的には男だけど、我が国の宰相様だ。
確かにキラキラしているけど、それはまあ、カリスマ的オーラというか……
「お悩み相談箱くらいにしか思われてないんじゃないのか」
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