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パーティーの出席金貨一枚、招待状の代筆銅貨一枚、食事の提供から片付けまで銀貨一枚――その他諸々。
「こんなもの無効だ! お前はこの家の妻だ。俺のために尽くすのは当然だろう!」
旦那様は帳簿を床に叩きつけ、踏みつけた。そして、怒りで顔を赤くした。
そして、帳簿を拾うと暖炉にくべて燃やしてしまった。
こうなることは予測済み。
ずっ旦那様の行動を見てきたのだから、行動パターンは把握している。
「それは帳簿の写しです。煮ても焼いても構いません。本物は他の場所に保管してあります」
「もしかして、復讐なさっているおつもりかしら?」
フレデリック様と違って、余裕たっぷりなミレーヌ。
ミレーヌは旦那様だけでなく、多くの貴族を恋人に持ち、社交界にも顔がきく。
貧乏令嬢の私など敵ではない。
「復讐か。できるものならやってみろ」
「フレデリック様! なんて頼もしいの!」
「リーゼ。離縁状を寄越せ」
やっとサインする気になったのか、離縁状を渡した。
私のサインはバッチリ書いてある。
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