2 離縁だと? ※フレデリック

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「貧乏令嬢が伯爵夫人になれたのだ。むしろ、俺に感謝するべきだろう」 「わたくしの目の前で離縁していただきたかったわ」 「なにを言う! 体裁を保つため、形だけの妻が必要だと言っただろう!」 「まぁ、怖い」 「ああ、ごめんよ。ミレーヌ。これも全部、リーゼが悪いんだ」  王都に屋敷も持てない貧乏貴族、世間知らずの地味な男爵令嬢から渡された離縁状。  腹が立たないわけがない。  帳簿をつけていたとは、とんでもない女だ。  結婚した時は十六歳。  なにもできない小娘と侮りすぎたか! 「どうせすぐに持ち金が尽きるだろう。そこでようやく自分の立場を思い知るはずだ」 「謝ってきたら、前よりこきつかってやりましょ」  しかし、腑に落ちないのが投げつけて来た金貨だ。  投げつけられた金貨の袋をにらんだ。  ミレーヌならともかく、あの貧相な体を売って稼いだとは考えにくい。    「この金貨……どこから手に入れたんだ?」 「どこかの金持ち男から借金でもしたんじゃないかしら」 「俺という旦那がいながら、男から借金とは生意気な!」 「まだそうとは決まってないでしょう。私が調べてあげる」
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