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照明の灯る庭園が一望できるバルコニーからは、見上げるとまばゆい星空が広がっていた。
そこはパーティ会場から離れた部屋で、少しばかり人々の声が聞こえてくるが、ずいぶんと静かな場所だ。
エディはどっと疲れが出たのか、バルコニーの手すりにもたれてうつむいた。
そのとなりで、マリアが静かに礼を言う。
「先ほどはありがとうございました」
「いや、一緒にいると言っておきながら君を放置してしまった俺に責任がある」
「そんなことありませんわ。エディはご挨拶すべき方々が多いですのに、私のために……」
「君が責任を感じることはないよ。俺がそうしたいのだから」
マリアはいまだに鼓動が収まらず、まともにエディの顔を見ることができない。
対するエディは姿勢を正し、マリアをまっすぐ見つめた。
マリアは余計に焦って目を泳がせる。
「あ、あの……とても、素晴らしい演技でしたわ。本当に、お上手ですのね」
「演技ではない」
「えっ……?」
マリアは驚いて目を見開く。
その視線の先には真剣なエディの表情があった。
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