19、君のことが好きだ

4/11
3448人が本棚に入れています
本棚に追加
/412ページ
 複雑な表情をするクリフの背後からサラがひょっこり現れる。  マリアはふたりに明るく声をかけた。 「クリフ、サラ」 「嫌がらせをされんだって? 大丈夫?」  サラが心配そうに駆け寄り、マリアは笑顔で返す。 「エディが助けてくれたわ」  ふたりが手を取り合って話している向こうで、クリフは申しわけなさそうにエディに声をかけた。 「もしかして今すっごい邪魔した?」 「邪魔だ!」  不機嫌な顔をするエディに向かってクリフはぺこぺこ頭を下げる。 「ごめん、ほんとごめん。今のはわざとじゃないんだ」 「お前はーっ」  エディは苛立ちの表情でクリフに詰め寄る。  そんな彼を見てクリフは焦りつつもにやけた。次こそはうまくやれよと余計な助言まで付け加えて、エディは半眼でクリフを見つめた。    一方マリアはサラと話しつつも、エディの様子が気になって仕方がなかった。  彼が先ほど言いかけたことは何だったのか。  なんとなく察している。  だからこそ、羞恥に頬が熱くなるのを抑えられなかった。
/412ページ

最初のコメントを投稿しよう!