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歪んだ世界
「集計した資料ここに置いておくね」
「はーい」
放課後の生徒会室であちこちで声が飛び交う。
「紗和、この資料ダブルチェックお願いできる?」
目の前には資料やらファイルやらを抱えた皐月が。皐月は優しいけど、みんな副会長に頼りすぎだ。
「いいよ。ついでにそのアンケートもまとめとくから」
「でも紗和も予算組みあるでしょ」
会計担当の私も確かにやることはあるけど、皐月に比べたら問題ない。
「大丈夫。それよりほら、あの子呼んでるよ」
生徒会室の入り口で学園祭実行委員の子が待っている。
「ごめん、頼んだ」
仕事を引き受けて手をつけていると。
「あの子、絶対皐月のこと好きだよな」
「生徒会長が何で一番暇そうにしてるの」
私の隣にどかっと座ってくる。
「副会長やみんなが優秀だからね」
「調子いいな」
「それよりほらあの子。皐月と話せてうれしそう」
確かに少し頬を赤らめながら話す様子は可愛いけど。
「でも残念だよなぁ。皐月にはもうお姫様がいるのに」
「……お姫様なんて単語が伊吹の口から出るとは」
「的確な例えだろ。お、噂をすれば」
学園祭実行委員会の子と入れ替わりで、別の子が生徒会室を訪ねてきた。
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