歪んだ世界

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「皐月いる?」 綺麗なブラウンの髪を巻いて、可愛らしく着飾った女の子。 「美優」 すぐに手元から目を離し顔を上げる皐月。 「どう?帰れそう?」 「ごめん、あと少し待ってて」 「分かった!」 可愛く返事をして、生徒会室の外で待つ彼女。 皐月は手早く資料諸々をまとめ、『みんなお疲れ』とまわりに声をかける。 「いいな~俺も可愛い彼女ほしい」 「伊吹は早く自分の提出書類まとめておくこと」 「は~い副会長」 皐月と堀川さんが帰った後、入れ替わり立ち代わり生徒会室にいたみんなは『送り迎えしてくれるなんてマメだよねぇ』『さすが王子様とお姫様』『堀川先輩可愛い~』と口々にほめそやす。 あの2人が羨ましいと。 ―――みんな、歪な関係で成り立ってるなんて知らずに。
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