バイオレットをやるお父さん

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バイオレットをやるお父さん

少年はめそめそしながら仕方なくポケモン金銀のカセットだけ持って帰宅をしました。お父さんとお母さんに事情を話し、女神サマにニンテンドースイッチとポケモンスカーレットをカツアゲされたことを言いました。 「それは残念だったな。けど原作では本物の金の斧と銀の斧がもらえるはずなのに、その女神様はおかしいな」 お父さんが不思議がって、少年が受け取ったポケモンの金銀を見ると、なんとそれは本物の金と銀でできているカセットでした。ゲームボーイカセットの重さは24gなので、計48gの純金、純銀を手に入れたことになります。   「これはすごい!これは本物だ!今すぐこれを売りに行こう!」 お父さんが大喜びで、金属買取専門店に、少年が受け取ったポケモン金銀のカセットを売りに行きました。銀の値段は1g100円くらいですが、金は1g8000円から9000円近くします。二本のカセットは20万以上で売れました。 「これは儲かった!こんなことならポケモンソフトをバンバン泉に投げ込んで、女神様に交換してもらおう!」 味をしめたお父さんは、とりあえず課金したお金でニンテンドースイッチとポケモンスカーレットを買い、息子に与えました。息子はゲーム機が新品になったので、はじめは喜んでいましたが、いままでやったセーブデータが消えていたので、不平不満たらたらでした。 そして次の日、お父さんは息子へのゲーム機と一緒に買ったポケモンバイオレットを持って、泉に向かいました。そして泉にバイオレットを投げ込むと、泉から女神様が現れました。 「あなたがおとしたのは、この金のポケモンですか?銀のポケモンですか?」 「いいえ、買ったばかりでまだ何も手を付けていない、ポケモンバイオレットです」 お父さんはポケモンバイオレットとだけ言えばいいのに、買ったばかりとか、なにも手をつけてないとか、余計なことを言いました。正直に言ったほうが女神様の好感度も上がると思ったからです。 「あなたはとても正直な人ですね。ご褒美にこのポケモン金銀を差し上げましょう」 お父さんはポケモン金銀のカセットを受け取り、ホクホクです。またこれを課金して儲けよう。とニヤニヤしていると、なんとそれは普通のプラスチックでできた、ゲームボーイでプレイするポケモン金銀のカセットでした。 「え?あれ?これ、貴金属じゃないんですか?」 お父さんは女神様に尋ねましたが、女神様は何も言わず、そこから消えてしまいました。仕方なくお父さんは残ったポケモン金銀のカセットをメルカリで販売しました。金額は1200円で売れました。 「くそう!ポケモンバイオレットは6500円したのに、ポケモン金銀は、一個600円でしか売れないのか!けどゲーム屋に持っていったら200円でしか売れなかったからメルカリのアカウントがあって助かった!」 女神様はお父さんが純金と純銀を手に入れるために、ポケモンバイオレットを泉に投げ込んだことを見抜いていました。きちんと途中までやって、セーブデータがあり、買ったばかりとか何も手を付けてないとか言わなければ女神様も騙せていたでしょう。課金目的で泉にゲームを投げ込んだお父さんを見て、女神様は本物のポケモン金銀を渡したのでした。 これは正直に言うことは大事なことですが、あまりにも正直すぎても問題で、ある程度はオブラートに包んでいえ、という教訓でした。そして女神様は泉の中でニンテンドースイッチを持ちながらとポケモン、スカーレットとバイオレットのどちらをやろうかずっと悩んでいましたとさ。おしまい。
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