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優しい人
「十夢は、今まで何人と付き合ったの?」
「俺?俺は、三人。少ないでしょ?愛ちゃんは?」
「同じだよ」
「そうなの」
「うん!そうなの。エッチしたのは、二人だけ、彼いれてね」
「俺も、二人だよ!奇遇だね」
「毎回、さっきの事考えてるの?」
十夢は、コクリと頷いた。
「どうして?」
「性教育を父さんにされたんだよ!」
「お父さんに?」
「うん、13歳の夏休みに友達にもらったエロ本見つかった時に!」
「お父さんは、何て言ったの?」
十夢は、ビールを注ぎながら話した。
「十夢、お前がこれをする時は結婚を必ず考えてしなさいって」
「結婚?」
「そう!妊娠をしてしまった時に、十夢は学校を辞めてきちんと彼女を養う覚悟を持たないといけないって」
「それで、十夢はどうしたの?」
「働いてって考えたから、高校二年生になって初めて性行為をしたよ!避妊をしてね!」
「そうだったんだね」
「父さんは、傷つくのは女の子だからと言ってた!男は、出すだけだけど女の人はそうじゃないんだよって!だから、責任をとらなきゃいけないって!彼女の先の先の未来までって」
「普通そんな風に考えてる人は少ないでしょ?」
私の言葉に十夢は、ハハハって笑った。
「そうなんだよ!友達に言ったら、十夢ってくそ重いって言われたよ!でも、二回目にした女の子がね」
「うん」
「俺として、泣いたんだ」
「どうして?」
「そんなに丁寧に扱われた事がないって!まあ、結婚は出来ないからって別れられちゃったんだけどね」
その言葉に、十夢は快楽を求めるだけのやり方をしないとわかってしまった。
私は、急に十夢としたくなった。
「十夢としたい」
酔っ払ったのか、口に出した。
「ダーメ」
十夢は、そう言って笑った。
「どうして?」
「愛ちゃん、俺はね!快楽を求めるエッチはしないの」
「じゃあ、何を求めるの?」
「何だろうね?愛かな?」
「愛か…」
「愛を確認し合う行為でしょ?愛ちゃんは、どう思ってるか知らないけど、俺はキスだけで充分」
十夢は、そう言って笑った。
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