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この気持ちを胸にしまって絶対に告白しないって私は決めた。まずはお友達になるところから。話しかけて、あたりさわりない話をしてみよう。
そう思っていたのに、あの子はとても優しくて。私にとって嬉しい言葉だけを投げかけてくれる。趣味も合う、好きな食べ物も同じ。話がすごく通じる、私が望んだ言葉を言ってくれる。そうしたらもっと好きになるなんて当たり前の話で、自分の気持ちが抑えられなくなってきた。
どうしよう、どうしたらいいんだろう。溢れた気持ちをとどめておくことなんてできない。
言ってしまおうか? 告白してしまったら、楽になるんじゃないか。受け入れてもらえるはずないのはわかっているけど、ふられたら諦めがつくかもしれない。少なくとも、毎日モヤモヤしなくていい。
ああでも、会えなくなったらもっと辛い。どうしよう、どうしたらいいんだろう。
「どうした……?」
心配そうなあの子。悩ましげな顔、そんな顔にさせているのは私。それさえ嬉しくなってしまう。私だけがあの子をこんな顔にできるし、私だけが見る事を許されてる。大丈夫だから、大丈夫。
「大丈夫?」
心の中に少しだけ欲望がわいてしまう。受け入れてもらえるんじゃないかって。あの子も同じ気持ちなんじゃないかって。失敗するはずないんじゃないかって。
苦しいから言ってしまおうか。
「あのね」
あの、わたし。私、あなたのことが。いやでも、言わない方がいいの!? 誰か助けて! ふと彼女を見ると不安そうに私を見ている。見れば見る程、見とれてしまう顔。私が大好きな顔だ。世界で一番可愛いと思う。その顔を見ていたら、もう押さえられなかった。
好き……。
「好き」
え。
今なんて? びっくりして見つめると、彼女もびっくりしていた。そして、同時に笑い出す。なんだ、やっぱり同じ気持ちだったんだ。嬉しい、勇気を出して良かった。
「好き」
お互い笑う。目に涙を浮かべながら。私もだけど、あの子も半泣きだ。
「好き」
嬉しい、本当に嬉しい。私の事を理解してくれるのはあなただけ。
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