3人が本棚に入れています
本棚に追加
高揚と落胆
それは9月のとある平日の夜のこと。いつものように仕事を終えて帰宅した田原智子が郵便ポストをチェックしたところ、チラシやDMに混じって角2封筒が1通投函されているのに気づいた。
智子は不思議に思って封筒を裏返したが、そこでどきりとして目を見開いた。そこに見覚えのある会社名が印字されていたからだ。
『文栄社』
智子はその会社名から目が離せなかった。文栄社。それは智子にとって重要な意味を持つ名前だった。なぜならそれは、智子が新人賞に作品を応募した出版社だったからだ。
最初のコメントを投稿しよう!