高揚と落胆

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 それから1週間後、智子の自宅に再び文栄社から郵便物が届いた。封筒の表面に「見積書在中」というスタンプが押してある。智子が送付を依頼したものだ。  メールへの返事は翌日の午前中に来た。応対してくれたのは松下という編集者で、智子の疑問点に一つ一つ丁寧に答えてくれた。出版までの流れ、提携する書店、宣伝方法、印税の取り扱い……。具体的な話を聞けば聞くほど夢が広がっていくようで、智子の気持ちはどんどん出版の方へ傾いていった。ただ、金額がわからないと判断のしようがないので、まずは見積書を送ってもらうことにしたのだ。
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