第一話

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第一話

 わたし・山下(やました)美音(みおん)は、バスが好きだ。  バスはわたしにとって、つかの間の休息。  あわただしい朝に、カバンの重みをちょっとだけ肩から下ろして、ほっとひと息つける場所。いそがしい学校の1日が終わったあとに、くたびれた体を休めてのんびりできる場所。  静かだけどあったかくて、おだやかな時間が流れていく。 でも。  わたしは、そのありがたみを、本当の意味でわかってはいなかった。あれが、当たり前だと思っていたから。  くやしいけど、彼が気づかせてくれたんだ。  
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