支えあうということ。

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翌日。佐倉くんとどう話そうか考えながら登校すると、彼はまだ来ていなかった。それどころか、ホームルームが始まる直前のチャイムが鳴っても、彼は姿を現さなかった。 珍しく遅刻かな。それとも欠席かな。 ふと、昨日の佐倉くんが脳裏に浮かぶ。 何かを我慢しているような、苦悶に歪んだ表情。 ……大丈夫、だろうか。 悶悶としている間に担任が入ってきて、みんなばらばらと席に着く。私も、席に着いた。 いつもの流れが終わったあと、担任が重々しく口を開く。 「……急な話ですが、佐倉優くんが転校しました」 「お父さんの転勤の都合だそうです」 ほんとうに唐突な話に、クラス中がざわついた。 なんで。どうして。聞こえてくる声は、すべて私の心の声のように聞こえた。 この場にいる誰よりも、衝撃を受けている自信があった。 担任はまだ何か言っているが、話が全く耳に入ってこない。軽くめまいがして、おでこを抑える。 窓の外に目をやると、作り物のように静まり返った町が目に入った。 その静けさが、とてつもなく、憎かった。
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