支えあうということ。

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「あれ、そういえばさ」 少しくだけた雰囲気になってきた頃、佐倉くんは切り出した。 「青崎さんって、下の名前なんだっけ」 今更?と思ったが、私も佐倉くんの下の名前を知らない。 「……優。青崎優」 佐倉くんは、と尋ねると、目をきらきらさせてぐいっと顔を近づけてきた。 私は近づいてきた分だけ半歩下がる。 「なに?」 「実は俺も、優って名前なんだ」 驚いた。今まで自分と同じ名前の人に出会ったことがなかったのもそうだし、こんなに接点のなかった佐倉くんに、まさか今日二つも接点ができたことにすごく驚いた。ひとつは合唱祭実行委員、ふたつめは名前。 案外、接点って簡単に作れるのかもしれない。 「びっくりした?」 「……うん。すごく」 佐倉くんは、ふふっという感じで笑った。 「びっくりしたって、顔に書いてあるよ」 「絶対嘘」 と言いつつも、私は自分の頬を手で触ってしまう。 「あはは。青崎さんって思ったより面白いね」 「……何、それ」 佐倉くんだってそうだよ。 言おうかと思ったけど、あえて言わないでおいた。 いつか言えるかなと思いながら、その日は5時半頃に別れた。
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