支えあうということ。

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「……あ」 私の引いたくじは、赤だった。目に鮮やかに映える、なんの躊躇もない赤。日常的に目にするあの色に、少しだけ似ている。 「というわけで、合唱祭実行委員は佐倉くんと青崎さんに決定しました!」 夏休み明け一発目のホームルーム。合唱祭実行委員をきめるくじ引きで、私は見事に合唱祭実行委員をつかみとってしまった。 ……しかも、陽キャ1軍の佐倉くんと一緒に。 無駄に元気な担任の一言に思わずうつむく。まばらな拍手が響いて、私は目で佐倉くんを探した。探すまでもなかった。「どんまーい」なんて小突かれながら、子犬みたいに無邪気に笑っている。それなのに、私と目が合うと慌ててそらしてしまう。 ……そんなに私のこと嫌いかなあ。 一人苦笑いすると、私は背中まで伸びた黒髪を払った。うっとうしい。切りたいけど、切れない。髪を切るということは、すなわち肌の露出面積が……。 「青崎さん」 聞き慣れない声で呼ばれて振り返ると、佐倉くんが後ろに立っていた。 「……佐倉くん」 「青崎さん、その……実行委員、よろしくね」 彼らしくなく目をきょろきょろさせながら、挙動不審に私に声をかけてきた。 ……だから、そんなに嫌いなら、話しかけてこなきゃいいのに。 「うん。よろしくね」 「あのさ。もし良かったら今日、帰りにどこか寄らない?ファミレスとかっ」 今度は、私が目をきょろきょろさせる番だった。 「えっ……?なんで?」 「ほ……ほら、親睦を深めたくて!その、青崎さんさえよければ……」 佐倉くんの方に視線を戻すと、もともとたれ気味な目がさらにたれていて、さながら小型犬のようだ。くーんという鳴き声と共に下がるしっぽと耳が見えた気がして、私は少し笑いそうになった。 「……いいけど」 「ほんとっ!?」 ……だから、小型犬みたいなんだって。 私は小さくうなずいて、席を立った。
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