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情報を求めて
次の日、待ち合わせをした駅に着くと、高校時代とほとんど変わらない風貌の友人がいた。
「おう。」
「おう、久しぶり。ごめんな、ありがとう。」
「なんで謝んだよ。会えてうれしいよ。」
なんだか、こいつ高校の時より穏やかになった気がするな…。
そんなことを思いながら、友人のおすすめの料理屋さんに向かった。
店はこじんまりとした和食屋だった。
「そこらへんの居酒屋より安いし、なにより上手いんだよここ。」
そう言って、二人ともとりあえずビールを頼んで、各々メニューを見て料理を選び始めた。
「おすすめとかあるの?」
「んー、俺は金目の煮つけとか…アジフライも上手いぞ。」
「おっいいね。じゃあ俺アジフライにするよ。」
「じゃあ俺は金目だな。」
料理を注文するのと同時にビールが届き、久しぶりの再会に乾杯してビールに口を付けた。
「いつ以来だっけ?」
「多分成人式の時以来じゃね?」
そんなたわいもない話から始まった。
「俺にも叶えたい夢があってさ。」
話が落ち着いたタイミングで、友人は少し間を置いて話始めた。
「俺にも叶えたい夢があってさ。別に今さらそれがどんな夢か語る気はないし、お前の夢を聞くつもりもないけど。」
「うん。」
「あるとき看護師さんにさ、その神社のことを教えてもらったんだ。」
看護師という言葉に引っかかったが、それは追及してはいけないことだと感じた。
「俺に寄り添ってくれて、丁寧にその神社の場所と作法を教えてもらった。」
「作法…。」
「そう、それで俺はその神社に行って願ったんだ。」
「それで…その夢は叶ったのか。」
「ああ。」
「そっか…。」
本物なんだ。
俺は確信した。
「その神社のことは、ネットで調べても意味がないよ。それを知っている人がいて、その人から聞くことで初めて知ることができるんだ。その看護師さんも、叔母から聞いたと言っていたし。」
「でもさ、ネットに載せちゃえばバズりそうなのに。」
「…違うんだよ。行けばわかるけどさ。そんな場所じゃないんだよ。本当に必要な人のためにそこにあるものっていうか…そんな感じでさ。だから、なんていうか…そんなんじゃないんだよ。」
「へぇ…。」
そう返事をしながらも、俺は正直言っていることがよくわからなかった。
「それを、俺に教えてくれるのか?」
「ああ、教えるよ。俺が知っている意味はそれを誰かに伝えるためだと思ってたからさ。それがお前で嬉しいよ。」
「そうなのか?」
「お前は、なんだかんだ根性があって、まあ、いいやつだからな。」
「なんだそれ。」
友人は、自分じゃわかんないよなと言って笑った。
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