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俺は魔法使いになりたい
俺は小さい頃からずっとなりたかったものがある。
それは魔法使いだ。
ずっとずっとなりたくて、小さい頃は親に言ったり友達に語ったりもしていた。
小学校6年生の時に将来の夢を書いて発表しましょうという授業で、俺は大真面目に「魔法使いになりたい」と書いた。
すると、生徒の書いている内容を見て回っていた先生が俺の席の横でしばらく立ち止まり、どうしたのだろうと先生の顔を見上げると、とても困った表情をして、
「・・・本当にこれになりたいの?」
と聞かれた。
あの時の、先生の顔と言葉は一生忘れない。
その時俺は、あっこれはもう人前で語ってはいけない夢なんだと子供心に悟り、
消しゴムを力一杯握りして、悔しい気持ちでいっぱいになりながら、書いた文字を消した。
消した後の紙はぐしゃぐしゃになった。
そして俺は中学生になり、みんなと同じように流れに従い受験し、高校、大学と進学した。
成績は下の上ぐらいだったがなんとか3流大学に進学できた。
正直、進学は俺にとってどうでもよかった。
魔法学部なんてあれば死んでも行きたいと思っただろうが、そんな学部はなかった。
周りの学生と同じように授業に出て、宿題をやったりレポートを出したりした。
傍から見たら、ごく普通の学生だっただろう。
けれど俺の中には魔法使いになりたいという夢の炎はずっと消えずに燃え続けていた。
あの時、先生から向けられた表情と言葉が、俺の炎に悔しさと闘志という薪をくべてより一層燃え上がらせていた。
とにかく、魔法関連の映画は全部見たといっても過言ではない。
もちろん見ること自体面白かった。
それから、本も読んだ。
魔法が出てくる小説から、ヨーロッパの歴史が書かれた本も眠気と頭痛に襲われながら読んだ。
どこかに自分が魔法使いになれるヒントが隠されているんじゃないかと思い、俺は必死に考え付く方法を試した。
しかし、魔法の杖や空飛ぶ箒が売っている秘密の横丁は見つけられなかった。
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